望春風の歌を聞いたことがありますか?ー台湾華語
長榮航空(エバー航空)の着陸時に流れる曲としても有名な望春風。あ〜あれね、と思われる方も多いのではないでしょうか。台湾人の友人はあの曲を聴くと、台湾に帰ってきた~と思うとのこと。日本の童謡と同じような感覚なのかもしれませんね。
初めて渡台した時、この曲を聞いてこれなら覚えられそう!などと簡単に思っていましたが、望春風は台湾語(台湾閩南語)で歌われているため、通常の國語(台湾華語)の発音とは違うことが判明して以来、歌うのをあきらめていました。でもやっぱり紐解いてみたい、ということで今日は望春風の歌詞を見ていきたいと思います。
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それでは早速見ていきましょう。
台湾語(台湾閩南語)とは?
台湾閩南語は、一般的には台語と呼ばれています。台湾人口の74.5%以上を話者とする言語で國語(台湾華語)とは発音が異なる方言的な位置づけです。台湾語は、福建省南部で話されている閩南語から派生して、日本統治時代の日本語なども取り入れつつ、独自の発展を遂げたと言われています。
台湾人の多くは学校など公式の場では國語(台湾華語)を、家など非公式の場では台語を用いていると言われています。
意外とたくさんある日本語由来の台湾語
下記は夜市などで見かける一例です。
他にも家族の呼称である「とうさん」「かあさん」「おじさん」「おばさん」「あにき」「ねえさん」のほか、日本語にとっても外来語をカタカナ表記した「チョコレート」や「サンドウィッチ」などに至るまで、ほぼ日本語の読み方と同じ単語が多くあります。
台語 | 読み | 日本語 |
海苔 | nó͘-lih | 海苔 |
黑輪 | o͘-lián | おでん |
阿給 | a-geh | 油揚げ |
甜不辣 | thiân-pú-lah | 天ぷら |
台湾人ならみんな知ってる望春風
1933年、日本の昭和8年に李臨秋が作った「望春風」は、恋に憧れる少女たちの共通の願いを歌ったものです。 鄧玉賢の美しいメロディーと当時の人気歌手である純純(劉清香)が歌ったこの曲は、台湾全土でセンセーションを巻き起こしたと言われています。 少女の憧れと愛を繊細かつ鮮やかに描いているだけでなく、台語で歌い、滑らかな韻と民謡の曲調で生き生きと面白く表現しています。 曲は少女を主人公にしていますが、主人公を少年に置き換えたとしても、愛への憧れは共通なので人々の心に響き、この曲を聞くと男性女性問わず、恋する若者の不安な気持ちや甘い思い出を呼び起こすのかもしれません。
純純 望春風
歌詞
台湾語(閩南語)の発音なので、通常の発音とは異なります。
動画は当時の音源なので照らし合わせてみてくださいね。
獨夜無伴守燈下(To̍k-iā bô phuānn tsiú ting-ē)
冷風對面吹(Líng-hong tuì bīn tshe)
十七八歲未出嫁 (Tsa̍p-tshit-puè-hè bē tshut-kè)
見著少年家(Kìnn-tio̍h siàu-liân-ke)
果然標緻面肉白(Kó-liân piau-tì bīn-bah pe̍h)
誰家人子弟(Suî-ka-lâng tsú-tē)
想欲問伊驚歹勢(Siūnn-beh mn̄g i kiann pháinn-sè)
心內彈琵琶(Sim-lāi tuânn pî-pê)
想欲郎君做翁婿(Siūnn-beh lông-kun tsuè ang-sài )
意愛在心內(Ì-ài tsāi sim-lāi)
等待何時君來採(Tán-thāi hô-sî kun lâi tshái)
青春花當開(Tshing-tshun hua tong khai)
聽見外面有人來(Thiann-kìnn guā-bīn ū lâng lâi)
開門看覓(Khui-mn̂g kai khuànn-māi)
月娘笑阮戇大呆(Ge̍h-niû tshiò gún gōng-tuā-tai)
予風騙毋知(Hōo hong phiàn-m̄-tsai)
和訳
家の中のランプの下で一人きりでいると
心地よい風が頬にかかる
私は17、8歳の未婚の女性で
偶然にも素敵な少年を見たの
予想通りこの男性は色白でハンサムで
どこの家の人か知らないので
尋ねてみたいけど恥ずかしい
琵琶の音のように心がどきどきしています
彼と結ばれたいけれど
心の中でずっと秘めています
いつ迎えに来てくれるかしら
私の青春は満開です
誰かがドアから出てきた音がした
(きっと彼かもしれない)誰もいない
おばかさんね、とお月さまが笑ってる
風のいたずらだったのね
この歌の他にも雨夜花などの曲も有名で、きっと聴いたことのある曲だと思います。次回、どこかでご紹介できたらと思います。