海外に滞在中の医療保険について考える
台湾に旅行に行くとき、3ヶ月程度の短期間滞在するとき、3ヶ月を超えて滞在するとき、それぞれに加入する医療保険の内容が変わってきます。
今回は連続して6ヶ月以上滞在している場合に加入できる台湾の「全民健康保險」(National Health Insurance, NHI)についてと、6ヶ月以上滞在はしないけれど、ビザなしで滞在できる期間の90日間までの期間は台湾にいたいという場合の民間の保険加入について詳しくみていきたいと思います。
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それでは早速見ていきましょう。
台湾の健康保険『全民健康保險』(National Health Insurance, NHI)について
全民健康保險(National Health Insurance, NHI)の概要
台湾の健康保険「全民健康保險」(National Health Insurance, NHI)は、台湾に住む全ての住民に対して包括的な医療サービスを提供する制度です。外国人も一定の条件を満たせば加入でき、広範囲の医療サービスを低コストで利用できます。
- 対象者:
- 台湾に住むすべての住民(台湾国民および外国人居住者)が対象です。
- 外国人居住者は、一定の条件(通常は連続して6か月以上の滞在)を満たすことで加入できます。
- 運営:
- 中央健康保険局(National Health Insurance Administration, NHIA)が運営しています。
- カバー内容:
- 外来診療、入院治療、歯科治療、予防医療、薬剤費など広範囲の医療サービスをカバーしています。
- 保険料:
- 保険料は収入に基づき計算され、雇用主、被雇用者、および政府が分担して支払います。
- 自営業者や学生の場合は、個人が全額を負担します。
- 利用方法:
- NHIカード(健康保険カード)を使用して医療機関を訪れ、医療サービスを受けます。
- 保険適用の医療機関で診察を受けると、保険適用部分は自動的に適用され、自己負担額のみを支払います。
- 窓口負担:
- 外来診療の自己負担額は、診療内容や医療機関の種類により異なりますが、比較的低額に設定されています。
- 歯科治療や高度な医療サービスでも、NHIによって自己負担額が抑えられます。
外国人の全民健康保險の加入条件
外国人が台湾の健康保険に加入するための主な条件は以下の通りです。加入には雇用者や学校のサポートがあるため、手続きも比較的スムーズに行えます。
- 労働ビザを持っている場合:
・雇用されている外国人は、労働ビザ取得後、雇用者が健康保険加入手続きを行います。雇用契約開始から6か月後に健康保険の適用が開始されます。 - 学生ビザを持っている場合:
・台湾の大学や学校に正式に入学している外国人学生も健康保険に加入できます。学校が手続きを代行し、6か月後に適用されます。 - 居住ビザを持っている場合:
・他の居住ビザを持つ外国人(例えば家族滞在ビザなど)も、同様に6か月間台湾に連続して居住した後に健康保険に加入できます。
全民健康保險の加入手続き
健康保険に加入するための一般的な手続きは以下の通りです。
- 申請書の提出:
- 所定の申請書を記入し、必要な書類(パスポート、居留証、雇用契約書など)と共に提出します。
- 手数料の支払い:
- 初回加入時に必要な手数料を支払います(通常は会社や学校が代行します)。
- 健康保険証の受け取り:
- 申請が受理されると、健康保険証が発行されます。これを持って病院やクリニックでの医療サービスを受けることができます。
病院での窓口負担
健康保険に加入している場合、医療サービスを受ける際の窓口負担額は以下のようになります。
- 一般外来:
- 診察料として約150~450台湾ドル(約500~1500円)です。
- 専門外来:
- 専門医の診察料は一般的に約200~500台湾ドル(約700~1700円)です。
- 入院費:
- 入院費は、入院日数や治療内容に応じて異なりますが、日額としておおよそ800~2400台湾ドル(約2800~8500円)程度です。
- 処方薬:
- 処方薬の費用は一部負担となり、薬の種類や量によって異なります。
『全民健康保險』なしで医療機関を受診する場合
台湾のNHIは、基本的に長期的な滞在者を対象としており、短期滞在や観光ビザでの滞在者は対象外です。『全民健康保險』なしで医療機関を受診する場合は全額自費での支払いになりますが、どのくらいの窓口支払いがあるのでしょうか。
台湾で健康保険を利用せずに医療機関を受診する場合、全額自己負担となり、保険適用時よりも高額になります。ただし、台湾の医療費は他の多くの国と比べて比較的リーズナブルです。以下に、健康保険を利用しない場合の一般的な医療費の目安を示します。
台湾の一般的な医療費の目安
医科(内科、外科など)
- 初診料:300~600台湾ドル(約1,100~2,200円)
- 大学病院や専門病院の場合はさらに高額になることがあります。
- 診察料(専門医):500~1,200台湾ドル(約1,800~4,400円)
- 専門医による診察は一般的な診察よりも高額です。
- 検査費用:
- 血液検査:500~1,500台湾ドル(約1,800~5,400円)
- X線:1,000~2,500台湾ドル(約3,600~9,000円)
- MRI:6,000~12,000台湾ドル(約21,600~43,200円)
歯科
- 初診料:300~800台湾ドル(約1,100~2,900円)
- 虫歯治療(充填):1,000~3,000台湾ドル(約3,600~10,800円)
- 歯のクリーニング:1,000~2,000台湾ドル(約3,600~7,200円)
- 抜歯:1,500~5,000台湾ドル(約5,400~18,000円)
- 歯の矯正:50,000~150,000台湾ドル(約180,000~540,000円)
- 歯の矯正は通常、非常に高額です。
他国と台湾での窓口支払額の比較(全額自費負担)
台湾で健康保険を利用せずに医療機関を受診する場合の費用は、他国に比べてリーズナブルとされます。以下に、アメリカ、イギリス、日本、そして台湾の医療費を比較してみます。
初診料(一般診察)
- アメリカ:
- 初診料:$100~$300(約11,000~33,000円)
- イギリス:
- 初診料(私立):£50~£150(約9,000~27,000円)
- 日本:
- 初診料:5,000~10,000円(保険未使用の場合)
- 台湾:
- 初診料:300~600台湾ドル(約1,100~2,200円)
MRI検査
- アメリカ:
- MRI検査:$1,000~$3,000(約110,000~330,000円)
- イギリス:
- MRI検査(私立):£500~£1,000(約90,000~180,000円)
- 日本:
- MRI検査:20,000~50,000円(保険未使用の場合)
- 台湾:
- MRI検査:6,000~12,000台湾ドル(約21,600~43,200円)
歯科の比較
虫歯治療(充填)
- アメリカ:
- 虫歯治療:$100~$300(約11,000~33,000円)
- イギリス:
- 虫歯治療(私立):£50~£250(約9,000~45,000円)
- 日本:
- 虫歯治療:5,000~20,000円(保険未使用の場合)
- 台湾:
- 虫歯治療:1,000~3,000台湾ドル(約3,600~10,800円)
歯のクリーニング
- アメリカ:
- 歯のクリーニング:$75~$200(約8,000~22,000円)
- イギリス:
- 歯のクリーニング(私立):£40~£100(約7,000~18,000円)
- 日本:
- 歯のクリーニング:5,000~10,000円(保険未使用の場合)
- 台湾:
- 歯のクリーニング:1,000~2,000台湾ドル(約3,600~7,200円)
民間の医療保険について
1. 短期滞在向けの海外旅行保険
短期滞在(3ヶ月未満)をカバーする海外旅行保険が便利です。滞在期間中の緊急医療や病気、事故に対応できる保険です。
主な特徴
- 医療費の補償
- 緊急医療搬送
- 24時間対応のサポート
- 旅行中のトラブル(盗難、遅延など)に対応
具体的な保険会社とプラン
- AIG損保:海外旅行保険「Travel Guard」
- 損保ジャパン:新・海外旅行保険【off!】」
- 東京海上日動:海外旅行保険「Travel」
2. 国際的な医療保険(エキスパット向け)
長期的な滞在や複数回の訪問を考慮すると、エキスパット向けの国際的な医療保険が適しています。これは長期間の複数国での滞在をサポートする保険です。
主な特徴
- 包括的な医療カバー(外来、入院、緊急医療)
- 柔軟な保険期間設定(年間契約も可能)
- 多国籍の滞在をカバー
- 予防医療や定期健診のカバーも可能
具体的な保険会社とプラン
- Allianz Care:Allianz Expat Health Insurance
- Cigna Global:Cigna Global Health Options
- Bupa Global:Bupa Worldwide Health Options
3. クレジットカード付帯の海外旅行保険
クレジットカードに付帯する海外旅行保険も選択肢の一つです。これにより、短期間の滞在に対して自動的に保険が適用されます。
主な特徴
- クレジットカードを使うだけで保険が有効
- 一定期間の海外滞在に対応(通常は3ヶ月以内)
- カードのランクによって保険内容が異なる
具体的なカード例
- アメリカン・エキスプレス・カード
- VISAゴールドカード
- MasterCardゴールドカード
手軽さで言えばクレジットカード付帯付き保険が便利ですね。滞在先や航空券の決済もクレジットカードということになれば、自動的に付帯保険が使えます。ただし、適用条件や保険でカバーできる範囲はお持ちのクレジットカードによって異なるので、確認が必要になります。