八三夭が語った『沒有翅膀的人』と〈想見你想見你想見你〉|インタビューから学ぶ台湾華語
2026年8月17日放送のラジオ日本『MUSIC DELIGHT』では、来日した八三夭のメンバーへのインタビューが放送されました。
インタビューが行われたのは、8月1日に東京・渋谷で来日公演を行ったその日。ライブ前の限られた時間の中で、メンバー5人がインタビューに答えています。
メンバーは、
主唱(ボーカル):阿璞
吉他手(ギター):劉逼
貝斯手(ベース):霸天
鍵盤手(キーボード):小橘
鼓手(ドラム):阿電
の5人。
インタビューでは、ニューアルバム『沒有翅膀的人』に込めた思い、アルバム制作中に起きたまさかのトラブル、大ヒット曲〈想見你想見你想見你〉、日本公演への思い、そして20周年に向けた今後の活動について語られました。
今回はインタビューの内容を紹介しながら、実際の会話に登場した台湾華語の表現にも注目してみたいと思います。
本記事では放送されたインタビューの内容を日本語で要約し、台湾華語学習に必要な範囲で発言の一部を引用しています。
4年以上の時を経て完成した『沒有翅膀的人』
八三夭が2026年にリリースした『沒有翅膀的人』は、4年以上の時を経て発表されたニューアルバムです。
今回の作品は、八三夭にとって6枚目のスタジオアルバム。
インタビューでは、アルバムタイトルを決めるまでにもさまざまなアイデアがあったことが語られました。
一曲一曲から浮かんでくるイメージがそれぞれ異なっていたため、どのような作品としてまとめるのかを考え、最終的に選ばれたのが、
「沒有翅膀的人」
というタイトルでした。
「沒有翅膀的人」を直訳すると、
「翼のない人」
となります。
特別な力を持つ人ではなく、この時代を生きるごく普通の人たち。
そんな一人ひとりの視点に立って、人生の困難に直面したときにどのような選択をするのかを描きたいという思いが、この作品には込められています。
バンド18年目だからこそ描ける「人生」
2026年で結成18年を迎えた八三夭。
長くバンド活動を続けてきたメンバー自身も年齢を重ね、人生の段階が変われば、人生に対する考え方も変化していくと語っています。
そのため今回のアルバムは、以前のように単純に前向きに励ますだけの作品ではありません。
人生のさまざまな段階で直面する困難や、その先の未来をどのように見つめるのか。
年齢と経験を重ねた現在の八三夭だからこそ表現できる内容になっているようです。
ここで覚えておきたい台湾華語が、
「玩團(wán tuán)」
です。
「バンドをやる」「バンド活動をする」という意味で、インタビューでは、長年バンドを続けてきたことを話す中で使われていました。
「樂團」は「バンド」という名詞ですが、「玩團」というと「バンドをやる」という動作を表せます。
録音済みの6曲が消えてしまった!
アルバム制作中には、忘れられない大きなトラブルもあったそうです。
ツアーを行いながら制作を続けていたため、レコーディングスタジオのパソコンを使い続け、なかなかバックアップを取る時間がなかったとのこと。
そんな中、パソコンが故障してしまいます。
しかも、すでに録音を終えていた6曲のデータが失われてしまったそうです。
結果として、ほぼもう一度作り直すことになり、アルバムのリリースも当初の予定より半年ほど遅れることになりました。
そして、このエピソードの最後に出てきた一言がとても印象的でした。
「一定要備份電腦,非常重要。」
「パソコンは絶対にバックアップしないと。本当に大事です。」
ここで覚えたいのが、
「備份(bèifèn)」
です。
「バックアップ」「バックアップする」という意味で、パソコンやスマートフォンを使う日常生活でも使える言葉です。
〈想見你想見你想見你〉は時代を象徴する曲に
インタビューでは、八三夭を代表する一曲となった〈想見你想見你想見你〉についても語られました。
この曲は、もともとドラマ制作チームとのコラボレーションによって生まれたラブソングでした。
しかし、曲が世に出た時期とCOVID-19の感染拡大が重なります。
世界中で社会活動が止まり、外出や仕事が制限され、家族や親しい友人にさえ自由に会えない時期が続きました。
そんな時代に「会いたい」という思いを歌った〈想見你想見你想見你〉が、多くの人の気持ちと重なっていきます。
ドラマを彩る一曲だったものが、いつしか多くの人にとって「あの時期」を思い出す曲へと変化していったのです。
「時代性歌曲」とは?
この話の中で出てきた印象的な表現が、
「時代性歌曲」
です。
「時代性(shídàixìng)」は「その時代特有の性質」「時代を反映した性質」という意味。
「時代性歌曲」で、その時代を映し出した曲、時代を象徴するような曲というニュアンスになります。
もともとは一つのラブソングだった〈想見你想見你想見你〉が、COVID-19という特殊な時代背景の中で、作り手自身も想像していなかった意味や重みを持つようになったことが語られていました。
「親朋好友」は誰のこと?
COVID-19について話す中では、
「親朋好友(qīnpéng hǎoyǒu)」
という言葉も登場しました。
「親」は親族、「朋」「友」は友人を表し、
「親戚や親しい友人たち」
という意味になります。
日本語の「家族や親しい人たち」「親しい人々」に近い表現として覚えておくと便利です。
「難能可貴」―得難く貴重なこと
〈想見你想見你想見你〉が広く知られたことで、八三夭の音楽を新たに知った人も増えました。
そのことについて使われていたのが、
「難能可貴(nán néng kě guì)」
という成語です。
意味は、
「得難く、とても貴重である」
「簡単には得られない素晴らしいことである」
というもの。
自分たちの曲をきっかけに、より多くの人が八三夭の音楽を好きになってくれた。
それを、とても貴重なこととして受け止めていることが伝わってきます。
コロナ禍で実現できなかった日本公演
今回のインタビューでは、日本のファンにとってうれしい話も聞くことができました。
八三夭は以前から日本のファンに日本公演を約束していたものの、COVID-19の影響によって実現できない時期が続いていたそうです。
そこで使われていたのが、
「沒辦法成行」
という表現です。
「成行(chéng xíng)」は、計画していた旅行やイベントなどが「実現する」「予定どおり行われる」という意味。
「沒辦法成行」で、
「実現することができなかった」
という意味になります。
旅行についても使えるので、覚えておくと便利な表現です。
「大阪と東京は絶対に」
そして2026年。
ニューアルバムを発表した後、日本公演については大阪と東京を必ずスケジュールに組み込み、日本のファンからのリクエストに応えようと考えたそうです。
日本のファンと交わした約束を、ようやく実現することができた今回の来日公演。
インタビュー前日には大阪でライブを行い、その日の東京公演でもファンと素晴らしい思い出を作りたいと話していました。
日本ツアーのために「無理をしてでも」2週間を確保
実は今回の日本公演の時期、八三夭はリハーサルが続いていたそうです。
それでも日本でライブをするために、なんとか2週間の時間を確保したとのこと。
このとき使われていたのが、
「硬是(yìngshì)」
です。
文脈によってニュアンスは変わりますが、今回の場合は、
「無理をしてでも」
「なんとかして」
といった意味合いです。
また「2週間」は、
「兩個禮拜(liǎng ge lǐbài)」
と言っていました。
「禮拜」は台湾の日常会話で「週」「週間」を表すときによく使われる言葉です。
「兩個禮拜」で「2週間」。
教科書で「兩個星期」と習った人にとっては、台湾の実際の会話を聞いていることを実感できる表現ではないでしょうか。
18周年、そして20周年へ
2026年で結成18周年を迎えた八三夭。
インタビューでは、8月15日・16日に台北小巨蛋(台北アリーナ)で18周年公演を行うことや、その後も『沒有翅膀的人』のツアーを続けていくことについて話していました。
さらにその先に見据えているのが、バンド結成20周年です。
これからも新しい曲を作りながら20周年を迎える準備をし、20周年には、さらに大きく盛大なツアーを行いたい。
そして、さまざまな都市でファンに会いたいと語っています。
その中には「東京」の名前も。
20周年を迎える頃に、再び日本で八三夭のライブを見ることができるのか。
今から楽しみに待ちたいですね。
インタビューから覚えたい台湾華語
今回のインタビューに登場した表現をまとめてみましょう。
玩團(wán tuán)
バンドをやる、バンド活動をする
人生困境(rénshēng kùnjìng)
人生における困難、苦境
備份(bèifèn)
バックアップ、バックアップする
碰上(pèngshàng)
~に遭遇する、~にぶつかる
停擺(tíngbǎi)
停止する、機能がストップする
親朋好友(qīnpéng hǎoyǒu)
親戚や親しい友人たち
時代性(shídàixìng)
時代性、その時代を反映した性質
迴響(huíxiǎng)
反響
難能可貴(nánnéng kěguì)
得難く貴重である
成行(chéngxíng)
計画していた旅行やイベントなどが実現する
硬是(yìngshì)
どうしても、無理を押してでも
禮拜(lǐbài)
週、週間
「就是」「然後」「其實」に注目して聞いてみる
今回のインタビューを台湾華語の教材として聞くと、もう一つ面白いことに気づきます。
「其實」
「就是」
「然後」
「那」
「對」
「這樣子」
といった言葉が何度も登場します。
例えば「就是」は、辞書では「つまり」「まさに~だ」などと説明されますが、実際の会話では必ずしも一つひとつを日本語に訳せるわけではありません。
話をつないだり、考えながら話したりするときにも頻繁に登場します。
「然後」も同様です。
文章を書くとき以上に、会話では話を先へ進めるために何度も使われます。
台湾華語を聞くときに、こうした言葉を「全部日本語に訳そう」とするのではなく、話すときのリズムとして聞いてみると、自然な会話が少し聞き取りやすくなります。
好きな音楽から台湾華語を学ぶ
今回のインタビューでは、『沒有翅膀的人』に込めた思いから、〈想見你想見你想見你〉が時代の中で特別な意味を持つようになったこと、日本のファンとの約束、そして20周年への展望まで、さまざまな話を聞くことができました。
内容を理解するだけでも興味深いインタビューですが、台湾華語を勉強している人にとっては、もう一つの楽しみ方があります。
それは、教科書ではなく「台湾の人が実際に話している中国語」を聞くこと。
今回のようなインタビューでは、「就是」「然後」「其實」といった会話をつなぐ言葉や、「玩團」「硬是」「禮拜」のような台湾の日常会話で使われる表現も自然に登場します。
好きなアーティストが話している言葉なら、「この言葉はどういう意味だろう?」と調べること自体が楽しくなりますね。
全部を一度に聞き取ろうとしなくても大丈夫。
まずは知っている単語を一つ見つける。
次に、よく出てくる表現を一つ覚える。
そしてもう一度聞いてみる。
そんなふうに好きな音楽やアーティストを入り口にして台湾華語に触れることも、学習を続ける方法の一つだと思います。
出典:ラジオ日本『MUSIC DELIGHT』2026年8月17日放送「八三夭」インタビュー
参考:台灣索尼音樂娛樂「八三夭『沒有翅膀的人』」

