台湾には介護保険制度はある?
日本もそうですが、台湾も現在少子高齢化の問題が深刻化しています。
近年、台湾の高齢化は急速に進んでおり、国家発展委員会(NDC)は来年、台湾が超高齢社会に突入すると予測しています。ただし、内政部の最新統計によると、2024年8月には嘉義県、台北市、南投県、雲林県、屏東県、花蓮県、基隆市において、総人口に占める65歳以上の高齢者の割合が20%を超えており、これら7県市はすでに前倒しで超高齢社会に突入しています。
日本はすでに超高齢社会で、おおよそ10年後の2035年問題も議論の対象になっています。これは団塊の世代が平均寿命を超える年とされていて、今後、介護保険も含めて大転換期になると予測されています。
さてここで気になるのは、台湾では介護保険制度があるのか(なければどういった制度があるのか)ということです。
今回は台湾の高齢者向け、障害者向けの制度について調べてみることにしました。
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それでは早速見ていきましょう。
台湾の高齢者や障害者を支援するための制度
台湾には、日本のような介護保険制度は存在していません。
しかし、介護が必要な高齢者や障害者を支援するための代替制度がいくつか設けられています。
1. 長期照顧服務制度(長照服務制度)
台湾には「長期介護サービス制度(長照サービス制度)」があります。
これは、国が介護が必要な高齢者や障害者に対して介護サービスを提供するための主要な仕組みです。
この制度は、2017年に長期照顧2.0計畫(長照2.0計畫)として導入され、対象者に様々な在宅介護や施設でのケア、デイケアサービスなどを提供しています。
制度の特徴
- 対象者: 65歳以上の高齢者や、55歳以上の先住民族、または50歳以上の障害者など、特定の条件を満たした人々。
- サービス内容: 在宅介護、デイケア、短期入所、介護用品の貸し出し、訪問リハビリ、訪問看護など。
- 財源: 主に政府の補助金と地方自治体の予算によって賄われていますが、介護を受ける人が一部負担をすることもあります。
2. 身心障礙者津貼(身障者手当)・老人津貼(高齢者手当)
さらに、障害者手当や高齢者手当があり、これらの手当を受けている人々には、介護が必要な場合に追加の支援や補助が提供されることがあります。
3. 地域ベースのサポート
台湾では、各地方自治体が独自に介護サービスや支援を提供している場合も多く、地域に根ざした支援体制が存在します。
これには、ボランティアによるサポートや、コミュニティセンターでのケアサービスが含まれます。
日本人でも利用可能か?
日本人を含む外国籍の人でも、台湾に合法的に在住しており、介護が必要な状況であれば、長期介護サービス制度を利用できる可能性があります。
ただし、特定の条件(例えば、居住期間や保険の加入状況など)があるかもしれないので、詳細については地方自治体の福祉局や長期介護サービス窓口に確認することをおすすめします。
台湾在住の外国人がこの制度を利用する場合、特に**居留証(ARC: Alien Resident Certificate)**を持っていることが重要です。
利用申し込み先
長期介護サービスを利用するには、以下の場所に申し出ることができます:
- 地方自治体の社会福祉局(社會福利局):市や県ごとにある福祉機関です。ここで申請を行うことで、要介護度の評価やサービスの調整をしてもらえます。
- 長期照顧服務管理中心(長期介護サービス管理センター):地域にある介護サービスの窓口で、ここで具体的なサービス内容の説明や申請手続きをサポートしてもらえます。
- 医療機関:一部の病院や診療所でも介護サービスの申請ができます。医師の診断書などが必要な場合もあります。
社會福利局(社会福祉局)
各区にある社會福利服務中心(社会福祉サービスセンターで問い合わせができます。
中山社會福利服務中心 | 中山區 | 10477臺北市中山區合江街137號3樓 | 02-2515-6222 |
大同社會福利服務中心 | 大同區 | 10363臺北市大同區昌吉街57號6樓 | 02-2597-4452 |
中正社會福利服務中心 | 中正區 | 10065臺北市中正區延平南路207號6樓 | 02-2396-2340 |
萬華社會福利服務中心 | 萬華區 | 10861臺北市萬華區萬大路22號4樓 | 02-2336-5700 |
萬華社會福利服務中心(街友專責中心) | 萬華區 | 10853臺北市萬華區梧州街36號5樓 | 02-2336-5730 |
大安社會福利服務中心 | 大安區 | 10668臺北市大安區四維路198巷30弄5號2樓之9 | 02-2703-0523 |
文山社會福利服務中心 | 文山區 | 11690臺北市文山區興隆路二段160號6樓 | 02-2932-3587 |
松山社會福利服務中心 | 松山區 | 10573臺北市松山區民生東路五段163-1號9樓 | 02-2756-5018 |
信義社會福利服務中心 | 信義區 | 11070臺北市信義區大道路116號5樓之2 | 02-2761-6515 |
內湖社會福利服務中心 | 內湖區 | 11462臺北市內湖區星雲街161巷3號4樓 | 02-2792-8701 |
南港社會福利服務中心 | 南港區 | 11568臺北市南港區市民大道八段367號3樓 | 02-2783-1407 |
士林社會福利服務中心 | 士林區 | 11162臺北市士林區基河路140號1樓 | 02-2835-0247 |
北投社會福利服務中心 | 北投區 | 11230臺北市北投區新市街30號5樓 | 02-2894-5933 |
他にも台北市政府の1999市民ホットライン(台北市外は02-2720-8889)でも問い合わせが可能です。
長期照顧服務管理中心(長期介護サービス管理センター)
1966 長照専用ホットライン:全国どこからでもかけられる長期介護専用の無料ホットラインです。
この番号に電話することで、介護サービスの申請や利用方法について相談できます。
衛生福利部(台湾の厚生労働省):
- 住所: 台北市南港区忠孝東路6段488号
- 電話番号: +886-2-8590-6666
これからの台湾での展望について
日本の介護保険制度は、40歳以上の国民が保険料を支払い、介護が必要になった際にそのサービスを受ける仕組みです。
一方、台湾の長期介護サービス制度は主に税金で運営され、介護保険のような個人の保険料の支払いはありません。
そのため、台湾の介護サービスは比較的低コストで利用できますが、サービスの質や範囲には地域によって違いがあることも指摘されています。
台湾の長期介護サービス制度は、少子高齢化社会に対応するため、今後もさらなる改善が期待されています。
日本も台湾も少子高齢化社会で、介護の人材は他国のヘルパーさんが担うことも多いようです。日本は地域差が台湾ほどないですが、それでも独居の方への対応が地方に行けば行くほど都市部と差が出てきています。
どのようにしたら地域差をなくせるのか、課題でもあります。