台湾の大学に進学するには
台湾は英語教育に力を入れているため、バイリンガル教育が盛んで日本のICUのように英語のみで授業を行うという大学もいくつかあります。
また台湾にも日本の「大学入学共通テスト」に相当する試験があります。今回は台湾の国立大学(および私立大学)に入学するためにはということでまとめました。
台湾の大学に進学しようかなと考えていらっしゃる方、進路をどうしようかなと考えていらっしゃる方の参考になればうれしいです。
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それでは早速見ていきましょう。
日本人が台湾の大学に出願する場合
日本の教育を受け、外国人留学生として台湾の大学に留学をする場合は、通常の台湾人が大学に進学する際に受験する試験を受けずに、別のルートで出願します。
TOCFLの必要性

- 中国語で授業を受ける場合:多くの大学では、出願要件としてTOCFLのレベルを指定しています。一般的には TOCFL B1(進階級)以上 が求められますが、大学や学部によってはB2(高階級)以上を必要とすることもあります。
- 英語で授業を受ける場合:英語で開講されるプログラムでは、TOCFLの代わりに TOEFLやIELTS などの英語能力試験のスコアを求められることが多いです。
TOCFLの試験申し込み先
TOCFL以外に必要な手続き
台湾の大学に出願するには、以下の手続きが必要になります。
1. 出願書類の準備
- 入学申請書(大学ごとのフォーマット)
- 最終学歴の卒業証明書・成績証明書(台湾での認証が必要な場合も)
- 語学能力証明書(TOCFL, TOEFL, IELTS など)
- 自己推薦書(Personal Statement)
- 推薦状(高校や大学など出身校の先生による推薦状)
※必要ない場合もあるようです。 - パスポートのコピー
- 財力証明(学費と生活費を支払えることを証明)
2. 出願
各大学の国際学生向け募集要項に従い、オンラインまたは郵送で出願します。台湾の大学は通常、春入学(2月)と秋入学(9月)の2回募集を行います。
3. 面接または試験(大学による)
一部の大学や学部では、オンライン面接や筆記試験が課されることがあります。
4. 合格通知と入学手続き
合格通知を受け取った後、学費の支払い、ビザ申請、宿泊の手配などを行います。
5. 居留ビザ・居留証(ARC)の申請
留学のためには、居留ビザ(Resident Visa)を取得し、台湾入国後居留証(ARC)を申請する必要があります。
台湾の大学入試の流れ(台湾の高校を卒業した人向け)
一般的に台湾人ではなく、外国人は外国人留学生枠として大学に出願を行います。ただし、台湾の高校を卒業した場合には、台湾の人と同様の試験を受けることになります。
台湾では1月に学科能力測驗(學測, ㄒㄩㄝˊ ㄘㄜˋ)を受検することからすべてが始まります。
- 学測を受験(1月)
- 個人申請(3月~5月):
- 面接や小論文などを受け、志望大学に挑戦する。
- 学測の成績で合格できなかった場合
- 指定科目考試(指考, ㄓˇ ㄎㄠˇ)を受験(7月)し、試験成績のみで大学を決める「考試分發」に進みます。
1. 学科能力測驗(學測, ㄒㄩㄝˊ ㄘㄜˋ)
日本の共通テストに近いです。
- 対象:主に国立・私立大学の一般入試(第一段階選抜)
- 実施時期:毎年1月下旬
毎年、旧正月の新年辺りに行われるので、受験生は新年どころではないのかもしれません。日本の学生も年明けから成人式の辺りまでは共通テスト一色ですね。 - 科目(5科目):
- 国語(現代文+古文)
- 英語
- 数学
- 社会(歴史・地理・公民)
- 理科(物理・化学・生物・地球科学)
- 特徴:
- マーク式(選択問題が中心)
- 日本の共通テストと同じく、大学ごとに足切りラインを設定
- 成績次第で「個人申請」または「考試分發」に進めます。
2. 指定科目考試(指考, ㄓˇ ㄎㄠˇ)
日本では共通テストの後に、自己採点をして点数が何割取れているかで出願校を決めると思います。その出願後の二次試験に近い試験が指定科目考試(指考)と呼ばれるものです。
- 対象:学測の成績が足りなかった人や特定の大学・学部志望者
- 実施時期:毎年7月
- 科目:学部ごとに異なる(難関学部は指考が必要な場合あり)
- 特徴:
- 記述式問題が含まれる
- より難易度が高い
- 「考試分發」(試験成績のみで大学を決める方式)に利用される
台湾の大学入試制度
選考方法について
台湾の大学進学には、主に3つの選考方法があります。
- 繁星計畫(ㄈㄢˊ ㄒㄧㄥ ㄐㄧˋ ㄏㄨㄚˋ)【推薦入試】
- 個人申請(ㄍㄜˋ ㄖㄣˊ ㄕㄣ ㄑㄧㄥˇ)【学測+面接・小論文】
日本の公募制推薦やAO入試といった方法に近いです。 - 考試分發(ㄎㄠˇ ㄕˋ ㄈㄣ ㄈㄚ)【試験一本勝負】
こちらは一般入試と同じですね。
① 繁星推薦(繁星計畫) – 日本の推薦入試に相当
- 対象:高校在学中の成績優秀者(特に地方の学生向け)
- 特徴:
- 在学中の成績(校内順位)と**学科能力測驗(學測, Xué cè, ㄒㄩㄝˊ ㄘㄜˋ)**の成績で評価
- 面接や追加試験なし
- 指定された大学・学部の中から選択する方式
メリット・デメリット
✅ 受験の負担が少なく、早めに進路が決まる
❌ 人気の高い学部には入りにくい
② 個人申請(個人申請) – 日本の総合型選抜に相当
- 対象:ほとんどの学生がこのルートを利用
- 試験プロセス:
- 學測(1月下旬)を受験
- 大学ごとに成績基準をクリア(足切りあり)
- 二次試験(3月~5月):面接・小論文・筆記試験など
- 合格発表(5月~6月)
メリット・デメリット
✅ 学測の成績が良ければ、追加試験なしで合格できる可能性あり
❌ 志望大学ごとに面接や追加試験があり負担が大きい
③ 考試分發(考試分發) – 日本の一般選抜(後期試験)に相当
- 対象:個人申請で合格できなかった学生・追加のチャンスを狙う学生
- 試験プロセス:
- 指定科目考試(指考, Zhǐ kǎo, ㄓˇ ㄎㄠˇ)を受験(7月上旬)
- 試験成績のみで大学・学部を決定(7月下旬)
- 合格発表(8月)
メリット・デメリット
✅ 純粋に試験の点数だけで合否が決まるため公平性が高い
❌ 指考は範囲が広く、難易度が高い
台湾の大学受験スケジュール(まとめ)
| 時期 | 試験・選考方法 |
|---|---|
| 1月下旬 | 學測(学科能力測驗) |
| 3月~5月 | 個人申請(二次試験) |
| 5月~6月 | 個人申請の合格発表 |
| 7月上旬 | 指考(指定科目考試) |
| 7月下旬 | 考試分發(試験の点数のみで大学を決定) |
| 8月 | 指考の合格発表 |
台湾の大学受験は「學測」と「指考」の2種類の試験があり、それぞれの成績によって異なる選考方法が利用できます。
どのルートを選ぶかによって準備方法も変わるため、早めに計画を立てることが重要です。

