足元に広がる小さなアート旅:台北「ご当地マンホール」巡り
台湾旅行といえば夜市やグルメ、寺廟めぐりが定番ですが、実は「足元」にもユニークな楽しみがあります。それが台北市のご当地マンホール蓋(台北蓋水)。
街歩き中にふと下を見れば、そこには台北12行政区それぞれの個性を映し出したアートの世界が広がっています。
今回は台北市のマンホールについて掘り下げます。
このサイトでは台湾華語学習や役立つ台湾華語の日常会話、台湾で今話題のもの、台湾に暮らすように住むとしたらという前提の話題をお届けしています。少しでも台湾旅行や台湾への留学、滞在にお役立ていただけると嬉しいです。
それでは早速見ていきましょう。
台北のマンホール蓋の変遷史
台北市のマンホール蓋は、時代ごとに大きくデザインを変えてきました。単なる道路の一部にとどまらず、都市の歴史や文化を映す「小さな芸術作品」としての役割も果たしています。ここでは1916年から2013年までの主なデザインの流れを紹介します。
1981年以前 — 日本統治期の影響を残す幾何学模様
初期の雨水マンホール蓋は、東京や京都のものに似ており、同心円や放射状の線で太陽を表現していました。市章は小篆体の「北」を簡略化したもので、松葉のような形が特徴です。1916年から1981年まで使われ、現在はほとんど残っていません。
1981年代 — 梅花と「北市」の意匠
1981年に制定された市章をもとに、梅の花の形をしたデザインが登場しました。円の中には「北」と「市」が組み込まれ、「北」は陽刻、「市」は陰刻で表されています。現在は路地裏などでしか見られない貴重な存在です。
1991年代 — カラフルな「北」字の市章
1996年に使われ始めた市章を刻んだタイプです。「北」の字を赤・黄・緑・青で彩色し、下に「TAIPEI」と「台北」が書かれています。約1,500基が存在しましたが、近年は更新が進んでいます。
2004年代 — 市花・市鳥・市蝶をデザインに
2004年、市章に加え、市花ツツジ、市鳥タイワンヤマムスメ、市蝶タイワンコノハチョウをあしらった美化デザインが誕生しました。現在最も数が多く、約4,600基が設置されています。
2013年代 — 耐圧型の新モデル
2013年以降、大雨で蓋が吹き飛ぶのを防ぐため、新しい耐圧設計の蓋が導入されました。過剰な圧力で2センチ浮き上がり、圧を逃がす仕組みを持っています。約2,900基が導入済みです。

2013年代 — 彩色デザインマンホール
同じく2013年、オンライン投票で選ばれた「台北を世界へ」をテーマにした彩色マンホール蓋が登場しました。台北101などを描いたデザインで、観光スポットやMRT駅周辺に53基設置されています。
昔からの実用品が、今では観光資源になっているのは面白いですよね。
ご当地マンホール誕生の背景
台北市政府の水利處(Hydraulic Engineering Office)は、都市景観をもっと楽しくするためにマンホール蓋をデザイン化する取り組みを始めました。
- 2020年:南港区・萬華区・大同区・中正区でスタート。
- 2022年:北投区・士林区・中山区・松山区・大安区・文山区・内湖区・信義区に拡大。
- 2023年4月:ついに台北12行政区すべてでご当地デザインが完成!
どんなデザインがあるの?
各区の特徴をモチーフにしているので、見ているだけで「なるほど!」と頷けるものばかり。
- 北投区:温泉と浴場のイラスト。台北屈指の温泉地らしさが足元に!
- 文山区:動物園の動物たち。パンダやキリンが登場して、思わず写真を撮りたくなる可愛さ。
- 萬華区:龍山寺、紅楼、伝統舞踊。台北最古の歴史と文化がギュッと詰まった一枚。
- 中正区:自由広場や野百合学生運動の象徴。台湾の民主化の歩みを思わせるデザイン。
- 大同区:商人や音楽家など、人々の暮らしと未来の産業、さらに鉄道や高速鉄道のモチーフ。まるで「台北の今と未来」を象徴するよう。
こうしてみると、ただの鉄の蓋ではなく、まるで「地元の物語を閉じ込めたアート作品」です。
写真好きにはたまらない!
街歩きの途中、足元に突然現れるカラフルな蓋を見つけると、思わずしゃがみ込んで写真を撮りたくなります。SNSに投稿すれば「え、台北ってこんなマンホールあるの?」と注目されること間違いなしです。
探し方のヒント
- キーワード検索
- 中国語: 「台北 蓋水」「台北市 人孔蓋」
- 英語: “Taipei manhole cover”
- 電子マップ(台北市政府公式サイト)で場所を確認可能。
台北市「蓋水主題地圖(マンホールテーマ地図)」公式サイト
「蓋水主題地圖」
公開元:台北市政府工務局水利工程處(Hydraulic Engineering Office)
公式ページには、各区に設置されたご当地マンホールの配置情報が電子地図としてまとめられています。
このマップを使えば、旅先で「どのあたりにどんなデザインがあるのか」がすぐにわかり、マンホール巡りが一層楽しめますね。
他にもいろいろあるマンホールの柄
台北の街中でよく見かける小さ目のマンホールはこちら。

臺灣大學構内にあったマンホール。

こちらは監察院外観図を絵にしたマンホール。

マンホールも国や地域でデザインの違いや色遣いの違いが見られて面白いです。
Instagramで台湾旅行に役立つ会話例文30選などのシリーズで展開中です。今後、ちょっとした一言、なども増やしていく予定です。ぜひチェックしてみてくださいね。記事下の管理人紹介からもリンクで飛べますが、こちらからも飛べるようにしました。記事を保存して単語帳のように使っていただけると便利だと思います。


