台湾に移住するには?(必要な申請は?)
円高の時代も円安の時代も、日本ではなく海外で暮らしたいと考える方も多いのではないでしょうか。
海外留学、海外の企業に就職、海外の支店、事業所に転勤、国際結婚など様々なきっかけがあり、日本以外の国で生活をしていらっしゃる方も多くなってきました。
漠然と自分も台湾で暮らしてみたいなと考えた時、どのような条件であれば海外に暮らせるのか、移住できるのかをまとめてみました。
長期滞在や移住をするわけですから手続きが簡単なわけがなく、調べてみたら気が遠くなりそうでしたが、1つずつ申請していけばゴールは必ずあるので申請される方は頑張りましょう。
このサイトでは台湾華語学習や役立つ台湾華語の日常会話、台湾で今話題のもの、台湾に暮らすように住むとしたらという前提の話題をお届けしています。少しでも台湾旅行や台湾への留学、滞在にお役立ていただけると嬉しいです。
それでは早速見ていきましょう。
台湾に移住するにはビザが必要
台湾に移住するためには、ビザや滞在許可の取得が必要で、その条件は目的によって異なります。
台湾入国前に申請するビザの種類 (2024年10月時点)
台湾に入国前にビザ申請をします。
このビザ申請は入国の目的によって、種類が異なりますが、申請場所は日本国内の台北駐日経済文化代表処(Taipei Economic and Cultural Representative Office in Japan)です。各地に分処がありますので、確認をしてください。
リンクは以下の通りです。
駐日本代表處
駐大阪辦事處
駐福岡辦事處
駐橫濱辦事處
駐那霸辦事處
駐札幌辦事處
工作簽證
工作簽證とは就労ビザのことです。
台湾で働くことを目的とする場合、雇用主がスポンサーとなり、就労ビザ(工作簽證)を取得する必要があります。条件は以下の通りです。
- 雇用主が台湾に登録された合法的な企業であること
- 学士以上の学位や関連分野での専門的な資格、実務経験が求められる
- 雇用契約に基づき月額給与が一定額以上であること
(多くの場合、最低月額50,000台湾ドル程度)
依親居留簽證
依親居留簽證は家族滞在ビザのことです。
台湾人と結婚した場合や台湾に家族がいる場合、家族滞在ビザ(依親居留簽證)を申請することが可能です。申請の条件は以下の通りです。
- 台湾国籍を持つ配偶者や親族の証明
- 必要な結婚証明書や家族関係証明書
學生簽證
學生簽證は学生ビザのことです。
台湾の大学や学校に留学する場合、学生ビザ(學生簽證)を取得します。
条件は以下の通りです。
- 台湾の教育機関からの入学許可証
- 財政的な支援証明(学費や生活費を賄うための資金証明)
學生簽證で台湾国内の大学や語学学校に通学し、インターン経験を現地企業でする場合がありますが、その際、正社員雇用はできない(工作簽證は適用しない)けれど、どこかの学校に通って學生簽證を持っているなら、そのまま雇用するよ、と言われるケースも稀にあるようです。それをよしとするかしないかは状況にもよりますが、ちょっとそれはないな、と感じます。
投資居留簽證
投資ビザのことで、台湾で事業を開始したり、一定額以上の投資を行う場合、投資ビザ(投資居留簽證)を取得できます。主な条件は以下です。
- 一定の金額(200万台湾ドル以上)の投資
- 投資計画の提出
- 事業の運営や投資の実施に関する詳細情報の提供
創業者簽證
起業家ビザ (Entrepreneur Visa)のことで、台湾でスタートアップを立ち上げたい外国人を対象としたビザです。このビザは、革新的なビジネスモデルや技術を持つ起業家に発行され、台湾での事業活動を促進するために設けられています。
主な条件
- 申請者の会社が一定の資本を持ち、台湾内での貢献が期待される。
- 申請者が過去に起業経験がある、または革新的なビジネスプランを提示できること。
- ビザの期間: 通常、最初は1年で、条件を満たせば延長が可能です。
就業金卡
ゴールドカード (Employment Gold Card)のことで、高度な専門知識を持つ外国人プロフェッショナル向けの特別な就労・居住カードです。就労許可、居留VISA、外僑居留証及び再入国許可の4つの機能が付いた台湾での就業用のカードです。、主に科学技術、経済、教育、文化などの分野で活躍する人材を対象としています。
台湾内で自由に働けるほか、家族の帯同や税制上の優遇措置もあります。
- 申請者は、台湾で需要が高い専門的なスキルや実績を持っていること。
- 台湾内の雇用契約がなくても、自分の専門分野で自由に仕事をすることができます。
- 科学、技術、経済、文化、教育など幅広い分野での優れた成果が求められます。
- ビザの期間: 最大3年で、延長が可能。
参考: Taiwan Employment Gold Card Office
藝術工作者簽證
芸術家ビザは、芸術分野での活動を希望する外国人に対して発行されるビザです。
特に、音楽、演劇、美術、デザインなどの文化・芸術活動に従事する専門家に提供されます。このビザは、台湾での創作活動やパフォーマンスを行うために適しています。主な条件は以下の通りです。
- 芸術家や文化的な分野での顕著な実績があること。
- 台湾内での活動計画を提示すること。
- 台湾の文化的発展に貢献できることが求められます。
- ビザの期間: 通常は1年で、延長が可能です。
参考: 外籍藝文專業人員申請簽證規定
長期滞在ビザ等で台湾に5年以上滞在している場合には、永住権の申請も可能です。
永住権(APRC)
永住権を申請するには、通常5年以上の継続した台湾での滞在が必要です。主な条件は以下の通りです。
- 各年の滞在日数が183日以上であること
- 犯罪歴がないこと
- 財政的な安定を証明する書類の提出(収入証明など)
- その他のポイント
- 台湾では日本国民向けに短期滞在(90日以下)であればビザなしでの滞在が認められていますが、長期滞在にはビザが必要です。
- 移住後、滞在ビザや永住権を得た後も、税金や社会保障などの制度に関しても確認が必要です。
台湾は外国人の専門家や起業家、芸術家に対して柔軟で先進的なビザ制度を提供しています。これにより、多くの才能ある個人が台湾で活躍しやすくなり、台湾の文化的・経済的発展に寄与しています。
ビザなしで移住することは可能?
日本人の台湾でのビザなし滞在期間は90日間です。
そのため、ビザなしで滞在する場合には、90日以内にいったん台湾国外に出国し、再入国する必要があります。
実際、そのように長期滞在ビザなしで90日以内に例えば、台湾から近いベトナムやタイ、シンガポールに旅行に行って、台湾に再入国するということをしている方もいらっしゃるようです。
可能ではありますが、後で説明する長期滞在の際に加入できる『全民健康保險』には加入できず、医療機関を受診した際には自費になってしまうことなど、様々な不便が生じる可能性が高いです。
できれば正規ビザを取得して滞在したほうが、わずらわしさなどが軽減するかなと思います。
台湾移住の流れ
どのVISAで入国するかを検討する
台湾国内の大学や語学学校に入学、通学するのであれば學生簽證、台湾国籍の方と結婚した場合には依親居留簽證です。
それでは国際結婚でもなく学生でもない場合には、前述の通り以下のようなビザになります。
台湾企業に雇用されて工作簽證(就労ビザ)を出してもらうか、もしくは自分で起業するか、資産があり投資家になるか、芸術分野での活動をするためのビザ、科学技術、経済、教育、文化などの専門分野において高い知識と技術を持った方対象の就業金卡(ゴールドカード)を申請するか、です。
一般的に日本よりも月給は低い場合が多く、台湾企業に雇用されて台北市内などで暮らすのは、円安の影響も相まって不可能というわけではないですが、厳しい現状です。フリーランサーとして二足の草鞋という対策も必要になるかなと思われます。
しかし、芸術分野におけるスキルがある、科学技術、経済、教育、文化などの専門分野において高い知識や技術がある、投資家や起業家になるといった場合には、比較的安定した生活ができるのではないかと思います。
いずれにしても、どのVISAを使って自分は台湾に居住するのかということは十分に検討してから、進めていくようにしましょう。
VISAの種類に応じた必要書類の準備
ビザに関する詳しい情報、提出先などは必ず下記サイトでご確認ください。
ROC Embassie and Missions abroad
台湾移民署(內政部移民署): https://www.immigration.gov.tw/
外務部領事事務局(外交部領事事務局): https://www.boca.gov.tw/
どのビザを申請するとしても、必ず必要になるのは申請書、有効期限(残6ヶ月以上)内のパスポート、証明写真(4.5×3.5)2枚です。
台湾において、証明写真の2吋というのは直 4.5 公分且橫 3.5 公分を指すようです。本来は吋はインチなので、1インチ≒2.5cmなので2インチだと5cm四方ということになりますが、実際には縦4.5cm×横3.5cmの大きさになります。
パスポートに使用する写真に準ずるので、背景は白、特殊メイクは不可、髪が目を覆わないようにし、顔の輪郭や特徴がはっきり分かるようにすること、とあります。
工作簽證
- 申請表格…申請書
- 有效的護照(有效期超過六個月)…有効なパスポート(有効期間が6か月以上)
- 兩張最近的2寸照片…最近撮影した縦4.5×横3.5cmの写真2枚
- 聘用合約或工作邀請函…雇用契約書または雇用通知書
- 當地勞工許可證…労働許可証
- 公司登記資料或營業執照…会社の登録情報または営業許可証
依親居留簽證
- 申請表格…申請書
- 有效的護照(有效期超過六個月)…有効なパスポート(有効期間が6か月以上)
- 兩張最近的2寸照片…最近撮影した縦4.5×横3.5cmの写真2枚
- 親屬關係證明(如結婚證書、出生證明等)…親族関係証明書(結婚証明書、出生証明書など)
- 台灣境內親屬的居留證明或身分證…台湾に住む親族の居住証明書または身分証明書
- 財力證明(如必要)…財力証明(必要に応じて)
- 無犯罪記錄證明…犯罪記録証明書
無犯罪証明書は「警察庁」が発行しますが、申請は都道府県の警察本部にて行います。具体的には、以下の手順で取得できます。
必要書類:有効なパスポート、戸籍謄本または住民票、申請書(警察署で提供)、指紋採取
申請場所:都道府県警察本部の公安委員会
警察庁公式サイト:https://www.npa.go.jp/
學生簽證
- 申請表格…申請書
- 有效的護照(有效期超過六個月)…有効なパスポート(有効期間が6か月以上)
- 兩張最近的2寸照片…最近撮影した縦4.5×横3.5cmの写真2枚
- 錄取通知書或入學許可函…入学許可証
- 學費支付證明…学費納付証明書
- 財力證明(如銀行存款證明)…財力証明(銀行の残高証明など)
投資簽證
- 申請表格…申請書
- 有效的護照(有效期超過六個月)…有効なパスポート(有効期間が6か月以上)
- 兩張最近的2寸照片…最近撮影した縦4.5×横3.5cmの写真2枚
- 投資計劃書…投資計画書
- 投資金額證明…投資金額の証明書
- 公司登記或營業執照…会社の登録証明書または営業許可証
創業家簽證
- 申請表格…申請書
- 有效的護照(有效期超過六個月)…有効なパスポート(有効期間が6か月以上)
- 兩張最近的2寸照片…最近撮影した縦4.5×横3.5cmの写真2枚
- 創業計劃書…創業計画書
- 財務狀況證明(如資本額、創業經費等)…財務状況証明書(資本金、創業費用など)
- 公司登記證明或相關文件…会社の登記証明書や関連書類
- 法定代表人身份證明表者の身分証明書…法定代表者の身分証明書
就業金卡
- 申請表格…申請書
- 有效的護照(有效期超過六個月)…有効なパスポート(有効期間が6か月以上)
- 兩張最近的2寸照片…最近撮影した縦4.5×横3.5cmの写真2枚
- 個人專業成就的證明文件(如專業資格證書、學術研究成果等)
- 雇主的邀請信或聘用合約(如有)
- 財力證明(如必要)
藝術工作者簽證
- 申請表格…申請書
- 有效的護照(有效期超過六個月)…有効なパスポート(有効期間が6か月以上)
- 兩張最近的2寸照片…最近撮影した縦4.5×横3.5cmの写真2枚
- 藝術工作相關的成就證明(如展覽、出版、表演等)…芸術活動に関する業績証明書(展覧会、出版物、パフォーマンスなど)
- 雇主或邀請方的邀請信或合作合約(如有)…雇用主または招待者の招待状や協力契約書(該当する場合)
入国後は居留ビザの申請へ
居留証の申請をしなければ、銀行口座の開設も携帯電話のデータプラン契約ができず、銀行口座の開設をしなければ住居の契約ができません。また居留証の申請をするためには、居留ビザの申請をしなくてはなりません。
ビザ申請はもう日本でしてきたよ、と思われるかもしれませんが、日本で済ませたビザ申請は台湾入国のためのビザ申請です。どのような目的で入国するかということを問われて許可されたビザです。
一方でその目的のために許可されたビザだけでは、長期滞在は認められないので、台湾に入国後に居留ビザを申請しなければいけないことになっています。
居留ビザ申請方法
日本で取得した工作簽證や学生ビザなどビザを持って台湾に入国し、内政部移民署(National Immigration Agency, NIA)で申請します。
申請場所:内政部移民署(National Immigration Agency, NIA)の各地のオフィス。移民署の支局は台北、台中、高雄など主要都市にあります。
必要書類:申請する目的によって必要書類は異なりますが、一般的に以下の書類が求められます。
- パスポートとビザのコピー:パスポートの有効期限が6ヶ月以上で、台湾のビザのページもコピーします。
- 入国時に使用したビザ:例として工作簽證(就労ビザ)や学生ビザなどのビザです。
- 写真:最近撮影されたパスポートサイズの写真(通常、カラーで3.5cm×4.5cmが指定されます)。
- ビザ申請書:移民署の窓口やウェブサイトからダウンロードできます。
- 関連証明書類:就労の場合:労働許可証
留学の場合:学校からの在学証明書や入学許可書
家族依親の場合:戸籍謄本や結婚証明書など
健康診断書:台湾の特定病院で受けた健康診断書が必要な
場合があります(申請内容により異なる)。
手数料:通常、新規申請の費用は約3,000台湾ドルです。
居留証(ARC)の申請方法
居留ビザを取得した後、さらに15日以内に居留証(ARC)を申請します。
居留証を持つことで、台湾での長期滞在が認められ、銀行口座開設、健康保険の加入、運転免許取得なども可能になります。
申請場所:内政部移民署で申請します。
居留ビザを取得した場所と同じ支局で手続きを行います。
必要書類:
- パスポートとそのコピー:パスポートの情報ページとビザのページ
- 居留ビザ:居留ビザがパスポートに貼られているページのコピー。
- 写真:最近撮影されたパスポートサイズの写真(カラー、3.5cm×4.5cm)
- 居留証申請書:移民署の窓口やウェブサイトからダウンロードできます。
- 関連証明書類:就労の場合:労働許可証のコピー
留学の場合:学校の在学証明書 - 手数料:申請手数料は通常、1,000〜3,000台湾ドル(滞在期間によって異なります)。
居留証の取得までたどり着けば、銀行口座開設、現地のデータ通信契約、住宅の契約などができるようになります。
銀行口座開設などについてはまた改めてまとめてみたいと思います。