日本の「〇〇ハラ」、台湾華語では何という?パワハラ・セクハラ・モラハラ・カスハラを徹底比較!
日本のニュースを見ていると、連日のように耳にする「〇〇ハラ」という言葉。
パワハラ、セクハラ、モラハラ、カスハラ……。今ではすっかりおなじみになりましたが、次々に新しい「〇〇ハラ」が登場することに驚くこともあります。
ところで、台湾でもこうしたハラスメントは問題になっているのでしょうか?
そして、日本の「〇〇ハラ」を台湾華語で表現すると、いったいどんな言葉になるのでしょう?
今回は、台湾で実際に使われている言葉を、注音(ボポモフォ)とピンイン付きで紹介しながら、日本と台湾の違いを見ていきたいと思います。
台湾にも「ハラスメント」という言葉はある?
日本語の「ハラスメント」は英語の「harassment」に由来する言葉です。
台湾華語では、嫌がらせやハラスメントを表す言葉として、主に次のような表現が使われています。
騷擾(嫌がらせ、ハラスメント)
- 注音:ㄙㄠ ㄖㄠˇ
- ピンイン:sāo rǎo
霸凌(いじめ、継続的な嫌がらせ)
- 注音:ㄅㄚˋ ㄌㄧㄥˊ
- ピンイン:bà líng
特に興味深いのが「霸凌」という言葉です。
日本語の「いじめ」に近い意味がありますが、学校だけでなく、職場やインターネット上でのいじめにも使われています。
それでは、日本でよく耳にする4つのハラスメントについて、詳しく見ていきましょう。
パワハラは「職場霸凌」
日本でいうパワーハラスメントに近い台湾華語が「職場霸凌」です。
職場霸凌(職場でのいじめ・パワハラ)
- 注音:ㄓˊ ㄔㄤˇ ㄅㄚˋ ㄌㄧㄥˊ
- ピンイン:zhí chǎng bà líng
「職場」は文字どおり職場、「霸凌」はいじめや嫌がらせを意味します。
例えば、上司が部下を大勢の前で繰り返し叱責したり、仕事から意図的に排除したり、立場を利用して無理な要求を押し付けたりする行為などが問題になります。
台湾では、こうした行為を防止するため、2026年7月1日から職場いじめ防止に関する新制度が施行されました。
台湾の「職業安全衛生法」では、業務上必要かつ合理的な範囲を超えた不当な言動によって、労働者の心身の健康が害されることなどが問題とされています。
ただし、すべての厳しい指導が「職場霸凌」に該当するわけではありません。具体的な状況や言動の内容などを踏まえて判断されます。
日本と台湾では法律上の定義に違いがあるものの、職場の権力関係を利用した不当な行為が問題視されている点は共通しています。
セクハラは「性騷擾」
セクシャルハラスメントは、台湾華語では「性騷擾」といいます。
性騷擾(セクハラ)
- 注音:ㄒㄧㄥˋ ㄙㄠ ㄖㄠˇ
- ピンイン:xìng sāo rǎo
「性」は性的なこと、「騷擾」は嫌がらせを意味します。
日本語のセクハラと意味が近く、職場だけでなく、公共交通機関や学校、日常生活など、さまざまな場面で使われる言葉です。
台湾には「性騷擾防治法」という法律があり、職場におけるセクハラについては「性別平等工作法」などの法律によって対策が定められています。
さらに、立場や権力を利用したセクハラについては、次のような言葉も使われます。
權勢性騷擾(権力関係を利用したセクハラ)
- 注音:ㄑㄩㄢˊ ㄕˋ ㄒㄧㄥˋ ㄙㄠ ㄖㄠˇ
- ピンイン:quán shì xìng sāo rǎo
日本でも上司や政治家など、立場の強い人物によるセクハラがニュースになることがありますが、台湾でもこうした権力関係を伴うセクハラが法律上、明確に位置付けられています。
モラハラは「精神暴力」や「冷暴力」
少し難しいのが、モラルハラスメント、いわゆるモラハラです。
台湾華語には、日本の「モラハラ」という言葉に完全に一致する、決まった一つの表現があるわけではありません。
そのため、どのような行為を指すかによって言葉を使い分けます。
精神暴力(精神的な暴力)
- 注音:ㄐㄧㄥ ㄕㄣˊ ㄅㄠˋ ㄌㄧˋ
- ピンイン:jīng shén bào lì
冷暴力(無視や冷淡な態度などによる精神的な攻撃)
- 注音:ㄌㄥˇ ㄅㄠˋ ㄌㄧˋ
- ピンイン:lěng bào lì
例えば、相手を繰り返し無視したり、意図的に孤立させたりする行為は「冷暴力」という言葉で説明されることがあります。
また、台湾では次のような言葉も使われています。
情緒勒索(感情を利用した心理的な圧力、感情的な脅迫)
- 注音:ㄑㄧㄥˊ ㄒㄩˋ ㄌㄜˋ ㄙㄨㄛˇ
- ピンイン:qíng xù lè suǒ
例えば「私のことを大切に思っているなら、言うことを聞いてくれるはず」といったように、罪悪感や不安を利用して相手をコントロールしようとする行為です。
ただし、「情緒勒索」は必ずしも日本語の「モラハラ」と同じ意味ではありません。
台湾では、行為の内容や人間関係に応じて、さまざまな言葉を使い分けることがわかります。
ちなみに台湾の労働部も、職場で意図的に無視されたり、仲間外れにされたりする「職場冷暴力」を、職場におけるいじめの問題として取り上げています。
カスハラは「顧客騷擾」など
日本では近年、カスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」という言葉も頻繁に耳にするようになりました。
顧客が店員に暴言を吐いたり、土下座を強要したり、過度な要求を繰り返したりする行為などを指します。
台湾でも、接客する労働者が顧客から不当な扱いを受ける問題があります。
こうした行為を説明する際には、次のような表現が使えます。
顧客騷擾(顧客による嫌がらせ)
- 注音:ㄍㄨˋ ㄎㄜˋ ㄙㄠ ㄖㄠˇ
- ピンイン:gù kè sāo rǎo
ただし、日本語の「カスハラ」に相当する言葉が、台湾で一つに統一されているわけではありません。
台湾の労働行政では、顧客やサービス利用者など、職場の外部の人物による暴言、脅迫、暴力なども「職場不法侵害」という枠組みで扱っています。
職場不法侵害(職場における不法な侵害)
- 注音:ㄓˊ ㄔㄤˇ ㄅㄨˋ ㄈㄚˇ ㄑㄧㄣ ㄏㄞˋ
- ピンイン:zhí chǎng bù fǎ qīn hài
日本では「お客様は神様」という考え方が話題になることがありますが、台湾でも顧客からの理不尽な要求や暴言への対策は重要な課題となっています。
マタハラは「懷孕歧視」
日本では、妊娠や出産を理由に職場で不利益な扱いを受けることを「マタニティハラスメント(マタハラ)」と呼びます。
台湾にも同様の問題があり、主に「懷孕歧視」という言葉が使われています。
懷孕歧視(妊娠差別・マタハラ)
- 注音:ㄏㄨㄞˊ ㄩㄣˋ ㄑㄧ ㄕˋ
- ピンイン:huái yùn qí shì
「懷孕」は妊娠、「歧視」は差別を意味します。
また、出産や子どもを持つことに関する差別を説明する際には「生育歧視(shēng yù qí shì)」という表現も使われます。
台湾では「性別平等工作法」によって、妊娠・出産・育児などを理由とした不当な解雇などが禁止されています。
台湾労働部が2025年5月に公表した資料によると、2022年から2024年までの3年間で、妊娠差別が認定された事案は46件に上りました。
日本でも台湾でも、妊娠や出産を迎える女性が安心して働ける環境づくりは重要な課題となっています。
日本と台湾で興味深い「ハラスメント」の言葉の違い
ここまで見てきて、興味深いと感じるのは、ハラスメントを表す言葉の作られ方です。
日本では「パワハラ」「セクハラ」「モラハラ」「カスハラ」のように、英語由来の言葉を略して、短いカタカナ語として使うことが多くなっています。
一方、台湾華語では「霸凌」「騷擾」「暴力」といった漢字を組み合わせ、行為の内容を表現しています。
例えば「職場霸凌」という言葉は、漢字の意味を知ると、職場でのいじめを指していることが比較的わかりやすい表現です。
もちろん、どちらの国でも言葉の意味や使われ方は、社会の変化とともに広がっていきます。
日本の「〇〇ハラ」をそのまま台湾華語に置き換えるのではなく、どのような行為を指しているのかを考えることが大切なのかもしれません。
まとめ|台湾華語を知ると社会の見え方も変わる
今回は、日本でよく使われる「〇〇ハラ」を台湾華語でどのように表現するのか紹介しました。
特に覚えておきたいのが、次の4つの言葉です。
- 職場霸凌:職場でのいじめ、パワハラ
- 性騷擾:セクハラ
- 冷暴力:無視などによる精神的な攻撃
- 顧客騷擾:顧客による嫌がらせ
言葉を比較してみると、日本と台湾には共通する社会問題がある一方で、その表現方法には違いがあることがわかります。
台湾華語を学ぶことは、単に単語や文法を覚えることだけではありません。
ニュースで使われる言葉を知ることで、台湾の社会や人々の考え方を理解するきっかけにもなります。
台湾のニュースを読む際には、ぜひ「霸凌」や「騷擾」という文字にも注目してみてください。

