一晩だけ咲く奇跡の味──台湾で出会う、ドラゴンフルーツのつぼみの話
南国フルーツの代表格・ドラゴンフルーツ(火龍果)。そのカラフルでトロピカルな果実は、日本でも人気が高まっていますよね。でも、みなさんはその「つぼみ」が台湾では野菜として食べられていること、ご存じでしたか?
今日は、ちょっと意外で、とっておきの台湾の食材、「火龍果花苞(ドラゴンフルーツのつぼみ)」をご紹介します。
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それでは早速見ていきましょう。


火龍果花苞(ドラゴンフルーツのつぼみ)ってどんな野菜?
旬の時期
ドラゴンフルーツの花は「月下美人」と同じサボテン科の植物で、大きくて白く、美しい花を夜に咲かせます。でも咲くのはたった一晩。翌朝にはしぼんでしまう、まさに“幻の花”と呼ばれています。

台湾ではその咲く直前のつぼみを、食材として活用するのです!

市場では「火龍果花」「仙人掌花」などの名前で並び、客家料理や家庭の滋養スープにも登場します。花が咲いてしまうと食べられなくなるので、早朝だけ出回る“旬の一瞬”の味覚なんですよ。

| 地域 | 旬の時期 | 備考 |
|---|---|---|
| 台湾全土(主に中南部) | 5月下旬〜10月中旬 | 最盛期は6〜9月頃。気温が高く、開花が活発になる季節。 |
| 台南・屏東・高雄などの産地 | 5月中旬から出始めることが多い | 農家直売所や朝市で早く出回る傾向。 |
| 花蓮・台東(東部エリア) | 6月〜9月 | 山間部では若干遅れて旬が来ることも。 |
花が咲いたら食べられない?
ドラゴンフルーツの花(火龍果花)は「咲いた後」でも厳密には完全に食べられないわけではありませんが、つぼみの状態に比べて食用にはあまり適さなくなるという理由があります。
花が咲くと繊維質が増えて固くなる
- 花が開くと、花びらやガクが大きく広がり、組織がスカスカでパサパサになります。
- つぼみの状態ではまだ柔らかく、ぬめりと粘りがあり調理に適している。
- 咲いた花は繊維が多く、加熱してもやわらかくならず、食感が悪くなるため、炒め物やスープには不向きです。
花の香りや風味が変化する
- 咲いた花は強い香りを放つようになります(特に月下美人と近縁種の場合)。
- 一方で、香りが強すぎたり、植物によっては苦味や渋みが出る場合もあります。
- 味よりも観賞に向く性質に変わってしまうのです。
栄養価やぬめり成分が減少する
花が咲くことでこれらの栄養素が分解されたり減少し、料理としてのメリットが薄くなります。
つぼみには、ビタミンCやポリフェノール、ぬめり成分が多く含まれています。

客家料理や中医学では、咲いた花(特に乾燥させたもの)を薬膳スープなどに使う文化もあります。ただし調理方法が異なるようで長時間煮込む必要があるようです。
いつ市場に出回るの?
- 朝市・伝統市場での販売時間帯:午前6時〜9時頃
- つぼみは収穫後すぐに調理しないと花が開いてしまうため、早朝にしか並ばないことが多いです。
- 「その日に収穫された分だけ」が出るため、数量限定・早い者勝ちです。
- 並ぶ頻度:週に2〜3回程度
- 生産量が少なく、毎日確実に出るわけではありません。
- 常連客が多く、早朝に完売することも多いです。
見つけやすい場所・時期のコツ
- 6〜8月の夏休み期間中がもっとも見つけやすい
- 台南、屏東、高雄、嘉義などの農業地帯の伝統市場が狙い目
- 「客家文化のある地域」では料理用の需要が高いため、比較的手に入りやすい
台湾語や中国語で探すときのキーワード
| 表記 | 意味 |
|---|---|
| 火龍果花苞 | ドラゴンフルーツのつぼみ(一般的) |
| 火龍果花 | ドラゴンフルーツの花(咲いた花も含む) |
| 仙人掌花 | サボテンの花(つぼみを含む伝統的な呼び名) |
| 清炒火龍果花 | にんにく炒め料理名 |
どんな栄養があるの?
- ビタミンC・ポリフェノール・食物繊維がたっぷり
- 消化を助け、体の熱を下げる「涼性の食材」
- 夏バテや疲労時にやさしく身体を整えてくれる存在
まさに、台湾の夏にぴったりの食べる薬草のような存在です。
食べ方いろいろ!つぼみの魅力
台湾ではつぼみを加熱して調理します。気になる味はというと……?
クセがなく、ぬめりのあるやさしい食感。
オクラ+ニラの花のような感じで、食べるとほんのり甘みと旨みもあります。
おすすめの家庭料理
- にんにく炒め(清炒火龍果花)
シャキッ&とろっの絶妙な炒め物。ご飯が進みます! - 薬膳スープ(排骨湯)
スペアリブ・なつめ・枸杞などと一緒に煮込む、疲労回復にぴったりの優しい味わい。 - おひたし風
茹でてポン酢や胡麻油で和えるだけで、夏のおかずに最高!
台湾の家庭でもよく作られている、ドラゴンフルーツのつぼみ(火龍果花苞)を使った簡単なレシピを2つお届けします。
火龍果花を使ったレシピ
にんにく炒め(清炒火龍果花)
材料(2人分)
- ドラゴンフルーツのつぼみ(火龍果花苞)…3〜4個
- にんにく…1片(みじん切り)
- サラダ油…小さじ1
- 塩…ひとつまみ
- 水…大さじ1
下ごしらえ
- つぼみを洗い、先端の硬い部分を取り除く。
- 長さ5cmくらいにざっくり切る。
- 軽く湯通し(約30秒)して、ざるにあげておく。
作り方
- フライパンに油を熱し、にんにくを炒めて香りを出す。
- 下ゆでしたつぼみを入れて、強火でさっと炒める。
- 塩を加え、水を加えて蓋をし、30秒ほど蒸し炒め。
- 水分が飛んだら完成!

ポイント:シャキッとした食感を残すため、炒めすぎないこと!
ドラゴンフルーツつぼみと豚スペアリブの薬膳スープ(火龍果花排骨湯)
材料(2〜3人分)
- ドラゴンフルーツのつぼみ…3個
- 豚スペアリブ(排骨)…300g
- 生姜スライス…2〜3枚
- なつめ(紅棗)…3粒(あれば)
- 枸杞…ひとつまみ(あれば)
- 塩…少々
- 水…800ml
下ごしらえ
- スペアリブは下茹でしてアクを抜く。
- つぼみは洗って先端を落とし、5cm程度に切る。
- なつめ・枸杞は水で戻しておく。
作り方
- 鍋に水・スペアリブ・生姜を入れて沸騰させる。
- 沸いたら弱火にして20分ほど煮込む。
- ドラゴンフルーツのつぼみ・なつめ・枸杞を加えてさらに10分煮る。
- 塩で味を調えて完成!

薬膳風にすることで、夏バテや疲労回復に効果的。優しい味わいで、胃にもやさしいです。
楽しみ方ヒント
- 民宿やAirbnbで調理できるなら、ぜひチャレンジしてみてください。
- 飲食店で「火龍果花湯」や「清炒火龍果花」と書かれていたら迷わず注文!
- スーパーではまず出会えません。地元の市場が狙い目です!
つぼみを食べる文化は奥が深い
ドラゴンフルーツはサボテンの仲間。台湾では昔から「仙人掌花」を漢方や民間療法に使っていた歴史もあります。
咲く前に食べるという、自然のリズムに寄り添った暮らしの知恵。その土地に生きる人々の知恵が、このつぼみに詰まっているんですね。
台湾の旅で出会える、もうひとつの果実
ドラゴンフルーツの実はもちろん魅力的ですが、そのつぼみを食べる文化に触れることで、もっと深く台湾を味わえるはずです。
短い旬、限られた地域。だけどだからこそ、出会えたら特別。
もし市場で見かけたら、ぜひ手に取ってみてくださいね。
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