台湾のベジタリアン事情(会話例文あり)
台湾では、宗教や健康、環境意識、社会文化の影響により、ベジタリアンではない人も日常的に素食を取り入れることが多いです。特に以下のような場面で素食を選ぶことが一般的です。
- 宗教的な日(旧暦1日・15日など)
- 健康目的(ダイエット、生活習慣病予防)
- 環境・動物福祉のため(週一ベジ運動など)
- 職場や学校での影響(素食の選択肢が多い)
- 素食レストランの料理が美味しいため
このように、台湾ではベジタリアンでない人でも素食が身近な存在になっており、社会全体で「柔軟に素食を取り入れる文化」が根付いています。
今回は台湾のベジタリアン事情についてまとめました。
過去にも素食(ベジタリアン料理)やファーストフード店でのグルテンフリー、素食メニューについてまとめた記事がありますので、宜しければチェックしてみてくださいね。


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それでは早速見ていきましょう。
台湾におけるベジタリアン文化の浸透理由と背景
台湾ではベジタリアン(素食)が広く受け入れられており、世界でも有数のベジタリアン人口の多い国の一つです。その背景には、宗教的信仰、歴史的要因、健康志向、環境保護の意識の高まりなどが関係しています。
1. 宗教的背景
台湾のベジタリアン文化は、仏教(佛教)、道教(道教)、一貫道などの宗教と深い関係があります。特に仏教の影響が大きく、仏教徒の多くは不殺生(生命を殺さない)の教えに基づいて菜食主義を実践します。台湾の仏教では、肉だけでなく五葷(五辛)と呼ばれる特定の香味野菜(ニンニク、ネギ、ラッキョウ、ニラ、アサツキ)を避ける習慣もあります。
一貫道も厳格な菜食主義を推奨しており、信者の多くは完全なヴィーガンに近い食生活を送ります。
2. 歴史的背景
台湾では、古くから農業が盛んで、伝統的に野菜や豆類を中心とした食事が主流でした。さらに、戦後の経済発展の中で健康意識が高まり、ベジタリアン食が広まっていきました。
また、台湾の元総統である李登輝氏をはじめとする政治家や著名人がベジタリアンであったことも、ベジタリアン文化の普及に影響を与えました。
3. 健康志向と環境保護
近年、台湾では健康や環境意識の高まりにより、宗教に関係なくベジタリアンになる人が増えています。研究によると、台湾のベジタリアンの割合は約10%(約230万人)に達し、その中には宗教的理由だけでなく、健康や動物福祉、環境問題を考慮して菜食を選ぶ人も多く含まれます。
台湾におけるベジタリアンの種類
台湾では、ベジタリアンの種類ごとに明確な名称があります。以下に台湾華語(注音付き)、英語、日本語の対応表を示します。
| 種類 | 台湾華語(注音) | 英語 | 日本語 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 完全素食 | 全素(ㄑㄩㄢˊ ㄙㄨˋ) | Vegan | 完全菜食主義 | 動物性食品を一切摂取しない(卵・乳製品・五葷もNG) |
| 卵素食 | 蛋素(ㄉㄢˋ ㄙㄨˋ) | Ovo-vegetarian | 卵菜食主義 | 卵はOKだが乳製品と五葷はNG |
| 乳素食 | 奶素(ㄋㄞˇ ㄙㄨˋ) | Lacto-vegetarian | 乳菜食主義 | 乳製品はOKだが卵と五葷はNG |
| 乳卵素食 | 奶蛋素(ㄋㄞˇ ㄉㄢˋ ㄙㄨˋ) | Lacto-ovo vegetarian | 乳卵菜食主義 | 乳製品と卵はOKだが五葷はNG |
| 五辛素食 | 五辛素(ㄨˇ ㄒㄧㄣ ㄙㄨˋ) | Semi-vegetarian | 一部菜食主義 | 五葷もOKだが肉・魚介類はNG |
| 魚素食 | 魚素(ㄩˊ ㄙㄨˋ) | Pescatarian | ペスカタリアン | 魚介類はOKだが肉はNG |
台湾で最も一般的なベジタリアンの種類
台湾では完全素食(Vegan)の割合が比較的高く、五葷を避ける完全菜食(仏教系)を実践する人が多いです。しかし、若い世代では乳卵素食(Lacto-ovo vegetarian)も人気があります。台湾の多くのベジタリアンレストランでは、五葷を含まない仏教系ベジタリアン料理が主流ですが、近年は欧米の影響を受けたヴィーガンレストランも増えています。
また、伝統的な市場やコンビニでもベジタリアン向けの商品が多く、例えばセブンイレブンでは「素」マークが付いた食品が販売されているため、旅行者や短期滞在者も比較的簡単にベジタリアンの食事を見つけることができます。
台湾のベジタリアン文化は、宗教的背景と現代的な健康志向が融合し、多様な選択肢がある点が特徴的です。
ベジタリアンでない人も生活の中に素食を取り入れる
1. 宗教的な日(齋戒の日)に素食を食べる
台湾では仏教や道教の信仰に基づき、特定の日に素食を食べる習慣があります。特に以下の日には、多くの人が肉を避けて素食を選びます。
- 農暦(旧暦)初一・十五(毎月1日と15日)
→ 仏教・道教の信者の多くは、これらの日に肉を断ち、身を清めるために素食を食べます。 - 釈迦牟尼仏(お釈迦様)の誕生日(農暦4月8日)
→ 仏教徒の間では、この日は素食を食べることが推奨されています。 - 盂蘭盆節(農暦7月15日、鬼月)
→ 先祖供養や悪霊を鎮めるために、素食を選ぶ人が増えます。 - その他の宗教行事や廟での祈願時
→ 道教の信仰者も、特定の神様に祈る際に素食を食べることがあります。例えば、「媽祖(まそ)」や「關聖帝君(関羽)」への祈願時に素食を食べる人がいます。
2. 健康のために一時的に素食を実践
台湾では健康意識が高く、特に中高年層を中心に「肉を減らす」食習慣が広まっています。例えば、
- ダイエットやデトックスの一環として、週に数日間だけベジタリアン食を実践する。
- 高血圧・高コレステロール・糖尿病などの生活習慣病予防のために、肉を減らして植物性食品を増やす。
- 「軽い食事をしたい時」に、消化が良いとされる素食を選ぶ。
台湾の健康番組や医師も、「肉を減らし野菜を増やすこと」が健康に良いと推奨しているため、この考え方が浸透しています。
3. 環境や動物福祉の観点で実践
台湾では環境保護や動物福祉に関心を持つ人が増えており、完全なベジタリアンではなくても、以下のような考えで素食を取り入れる人がいます。
- 「週一ベジ(週一素)」運動
→ 一週間に一度、肉を食べない日を作るという運動(欧米の「Meatless Monday」に近い)。 - 環境負荷の低減を目的に、温暖化対策として肉食を減らす。
- 動物愛護の意識が高まり、一時的にベジタリアン食を実践。
特に若い世代には、サステナビリティや動物愛護の観点から、完全なベジタリアンではなくても積極的に素食を選ぶ人が増えています。
4. 職場や学校での影響
台湾の職場や学校では、食堂でベジタリアン向けの食事が提供されることが多く、特に以下のような場面で素食を選ぶことがあります。
- 企業の社員食堂や学校の学食で素食が選択肢にあるため、健康や気分に応じて選ぶ。
- ベジタリアンの友人や家族と食事をする際、同じ料理を注文するために素食を選ぶ。
- 会社の会議やイベントで提供される弁当が素食(宗教的配慮や健康志向のため、素食の弁当が用意されることがある)。
5. 素食レストランが美味しくて人気
台湾では素食レストランが非常に多く、その料理のバリエーションが豊富で美味しいことから、ベジタリアンでない人でも楽しんで食べることがよくあります。
台湾の素食レストランでお肉や魚の代わりに使われる食材は、キノコ類(エリンギ、エノキ、ヤマブシタケ)や小麦グルテン、大豆ミートなどです。グルテンフリーの生活をされている方や、小麦アレルギーがあるという方は注意が必要です。


我對麺粉過敏。這道菜用麵粉嗎?
私は小麦粉のアレルギーがあります。この料理には小麦粉が使われていますか?
こんな風にスタッフの方に聞いてみるといいですね。
- ベジタリアン向けのビュッフェや精進料理が美味しいため、健康やダイエット目的で利用する人が多い。
- 台湾料理の「素食版」が非常に豊富(素食の小籠包、素食のルーローファン、素食の牛肉麺など)。
- 値段が手頃でコスパが良いため、普段のランチとして選ばれることもある。
特に台湾の素食レストランは、肉を使わずに「まるで肉のような味や食感」を再現する技術が高く、ベジタリアンではない人でも満足できる味になっています。
おまけ(グルテンフリーメニューレシピ)

このレシピは蛋素(ㄉㄢˋ ㄙㄨˋ)、Ovo-vegetarianのレシピになっています。卵を食べても大丈夫という方はぜひお試しください。
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